ヨコズナサシガメ

 3月の初め、「山仕事の広場」周辺で作業がありました。朝の温度は10度以下、風も冷たく、作業着の上にジャンパーそして手袋が必要でした。

 この時期、広場のコナラの木はまだ、冬枯れのままでした。木肌を見ると、その窪みにヨコズナサシガメの幼虫が寒さから身を守るかのように、身を寄せ合ってじっといました。

 この幼虫は、10月頃から越冬に向けた集団を形成し、4月頃に活動を開始するまでの6~7ヶ月間、そのままの形態で越冬します。不完全変態をするこの種は、春になると蛹にはならず、直接羽化します。成虫の期間は、2週間~2ヶ月位なので、約1年の寿命の半分以上が幼虫での越冬期間になります。肉食であるヨコズナサシガメは餌である昆虫の幼虫などが豊富になる春に合わせて羽化する、と考えられています。この種は、”サシガメ”の名前から分かるように捕食するアリ、ハエなどの昆虫を前足で抑え込み、口吻(針状の口)を獲物に突き刺し、消化酵素を含む唾液を獲物の体内に注入します。この消化酵素は、獲物の筋肉、内臓などを液化し、それをサシガメは吸い取り栄養とします。

 コナラの木はこの時期、既に春の兆しを感じ取り、胴吹きし始めています。また、秋に地上に落ちたどんぐりは、しっかりと地面に根を張り、発芽を待っています。